自分が将来どう歳を取っていきたいのか、まったくビジョンが掴めない。
「こんなおばあちゃんになりたい!」というイメージはある。白髪をふんわりまとめて、お花のたくさんある家で、手作りのお菓子を振る舞いながら「まあまあ、お茶でもどうぞ」って言えるような、あたたかい感じのおばあちゃん。でも、その手前にある40代から60代の自分が、まるで想像できない。
そもそも、30代まではなんとなくイメージできる。周りを見ても、30代は仕事に忙しく、子育てに奮闘している人が多い。仕事と家庭の両立に追われながら、子どもの成長とともに時間が過ぎていく、そんなイメージがある。でも、40代以降が完全に未知数。
40、50代って何をしているのか? 周りにはバリバリ働いている人もいれば、子どもが少し大きくなって手が離れ、ちょっと自由になっている人もいる。かと思えば、「今からでも新しいことを始めよう!」と資格を取ったり、第二の人生を模索している人もいる。選択肢が多すぎて、「自分はどんな40代を過ごすのか?」がまったく見えない。
そして60代。かつては「定年=60歳」みたいなイメージがあったけど、今は定年が延長されている。60歳で仕事を辞めるとは限らないし、70歳になっても働いている人がいる。「60歳=ゆっくり老後生活」みたいなイメージはもう古いらしい。
でも、そうなるとますます分からない。40代から60代は、ただのおばあちゃん準備期間じゃなくて、まだまだ働く大人としての時間が続くわけで、「この期間をどう生きるか?」という具体的なビジョンが全然浮かばない。
なんなら、そもそも「大人の完成形」みたいなものが存在しないのでは? と思い始めている。10代の頃は「20代になったらしっかりするんだろうな」と思い、20代の頃は「30代になったらちゃんとした大人になるのかも」と思っていた。でも30代になっても特に「完成」する気配はなく、気づけば「40代ってどうなるんだ?」と不安になっている。多分、40代になったら「50代ってどうなるんだ?」って言ってそうだし、50代になっても「60代の自分が想像できない」って言ってる気がする。
とりあえず、可愛いおばあちゃんにはなりたい。でも、その前に何十年か「まだ大人として頑張る期間」があるっぽい。じゃあ、その間にどう過ごせば、最終的に可愛いばあちゃんになれるのか? 何を積み重ねれば「こんな歳の取り方でよかったな」と思えるのか?
人生って、思ってたよりもずっと「未完成のまま進んでいくもの」なのかもしれない。
